英国政府、牛の大規模農場に対する規制の“抜け穴”是正へ
英国政府はこれまで、他の集約的畜産施設には義務づけられてきた環境許可制度の対象外となっていた、牛の大規模酪農・肉牛農場に対し、新たに規制を導入する準備を進めています。
対象となるのは、年間を通じて牛舎内で飼育する大規模酪農施設や、数千頭規模の牛を肥育する屋外フィードロットなどです。これらの施設は、家畜排せつ物と廃水を混ぜた「スラリー」による汚染事故と繰り返し関連づけられてきました。しかし現在は、大規模な養豚場や養鶏場に課されているのと同様の環境許可制度の対象とはなっていません。
調査で明らかになった実態
この方針転換の背景には、長年にわたる監視と調査があります。
とりわけ、英国の調査報道機関、ビューロー・オブ・インベスティガティブ・ジャーナリズムによる調査では、酪農スラリーが河川や土地に被害をもたらす汚染事故の主要な原因の一つであることが明らかになりました。
スラリーは肥料として農地に散布されますが、一部の集約的酪農場では複数回にわたる汚染事故が確認されています。こうした実態が、牛の超集約的飼養が環境に与える影響への懸念を高めました。
その後、政府の環境改善計画、さらに河川浄化に関する白書の中で、大規模な牛農場を環境許可制度の対象に含めるための協議を行う方針が示されています。
現行制度の“空白”
現在、環境許可の取得が義務づけられているのは、最も規模の大きい集約的養鶏場および養豚場のみです。許可は環境庁や各地方当局によって発行され、厳格な運営条件が設定されるほか、査察の対象にもなります。
一方で、過去の調査では、ケント州、ダービーシャー州、ノーフォーク州などにおいて、年間最大6,000頭を肥育する巨大な屋外牛フィードロットが少なくとも10か所存在することが明らかになりました。しかし当局は、そのような施設について全国的な記録を保持していないことを認めています。
2024年1月以降、イングランドでは牛の酪農・肉牛農場に関連する汚染事故が453件発生しています。これは、養鶏・養豚施設に関連する123件を大きく上回る数字です。
今後の方向性
政府は、牛農場がアンモニアを含む水質および大気汚染の重要な発生源であるとしています。そのうえで、環境上の効果を最大化しつつ、農家にとってのコストや事務的負担をできるだけ抑える方法を検討すると述べています。
リバー・アクションのジェームズ・ウォレスCEOは、次のように述べています。
「酪農および肉牛部門に許可制度を拡大すれば、規制当局は、ある流域における牛の飼養頭数が持続可能な水準を超えている場所を把握するための確かなデータを得ることができます。そして、汚染が発生している地点に的を絞った対策を講じることが可能になります」
Original article in English by Jordi Casamitjana / Japanese version by Yuko Kubo.


