英国の養豚・養鶏による甚大な環境被害、ワイルドライフ・トラストの報告で明らかに
2025年8月29日、自然保護団体ワイルドライフ・トラストによる報告書が発表され、英国における豚と鶏(家禽)の飼育産業がもたらす環境被害が、初めて明らかにされました。調査対象には、集約的な飼育施設に加え、飼料生産に使用される広大な土地も含まれており、この産業が水質や農村部の生態系に及ぼす汚染の深刻さを示しています。
報告書によると、英国の養豚・養鶏産業は年間およそ1,040万立方メートルの廃棄物を排出しており、これはオリンピック規格のプール4,160杯分に相当します。廃棄物には高濃度の窒素やリンなどの栄養分が含まれており、河川を汚染し水生生物や水質を脅かすリスクがあります。イングランドでは豚の大半が5つの自治体に、鶏の半数以上が10の自治体に集中しており、環境悪化のリスクが特に高まっています。
また、英国で生産される小麦の3分の1以上が豚や鶏の飼料用として利用されています。これらの作物の栽培に使用される化学肥料や農薬は、土壌や河川を汚染し、生物多様性や生態系の健全性を脅かしています。飼料用作物のために使われている土地は50万ヘクタール以上に及びます。
ワイルドライフ・トラストで土地利用政策を担当するバーナビー・クープ氏は、次のように述べています。
これまでの豚・家禽生産の環境影響評価は、汚泥汚染の直接的なリスクに焦点が当てられてきましたが、今回は飼料生産に伴う広大な土地利用も含め、英国全体の産業を対象としました。深刻な影響が英国全体に及んでいることは明らかで、さらなる対応が必要です。
構造的な問題は日本も同じ
動物飼育による同様の影響は、日本にも存在します。
家畜排せつ物
年間およそ 8,000万トン のふん尿が発生しています。窒素やリンを含んでいるため、適切に処理されないと地下水や河川の水質汚染につながります(環境省資料)。
飼料輸入依存
家畜に与える濃厚飼料の約 8割 は輸入に依存しています。特にトウモロコシや大豆かすは南米などから輸入され、海外の森林破壊や環境負荷と直結しています(農林水産省/家畜改良センター資料)。
地域的な集中
養豚や養鶏は特定の県に集中しており、その地域では耕地1ヘクタールあたりの窒素負荷が突出して高く、悪臭や水質汚染が問題視されています(農林水産省報告書)。
日本の畜産業は規模が小さいため、環境への影響も少ないと思われがちですが、実際には国内外と密接につながった大きな問題です。対応は避けられません。
Original article in English by Jordi Casamitjana / Japanese version by Yuko Kubo.
そもそも動物は食べ物ではありません。
動物を傷付けない、動物搾取をしない、生き方をしよう。
Just go vegan.



